昔は個性に寛容だった
NHKの「トットてれび」を見ている。
黒柳徹子さんの自伝的なドラマ。
演技力で定評のある芸達者、満島ひかりちゃんが徹子さん役。
徹子さんの若い頃を知らない私は、タイムスリップして、若くて美しい徹子さん…トットちゃんに会いたくなった。
NHKの専属タレントオーディションの時、数千人の中から選ばれたトットちゃん。
なのに、全くといっていいほど仕事が出来ない。
「今日は帰りましょうか…。」
とせっかくエキストラ出演しているのに、つまみだされる。
要するにKY、状況が把握できなくて、ただの通行人の役なのに立ち止まったり不自然な動きをしたりする。NG連発。
ラジオでは、人が倒れているのを見て、野次馬がザワザワと小声で囁くアドリブ芝居なのに、
「どうなさったのかしら? まぁ たおれてらっしゃる! どうかなさいました? 生きてらっしゃる?」
と大声で、早口でまくしたてる。
見ているとかわいそうになる。本人は悪気はない、本当に心配している。
トットちゃんは、なぜ自分がオーディションに合格したのか不思議になり、採用してくれた担当者に聞いてみる。
すると意外な答え。
「あなたが一番ダメだったから」
含蓄がある。
今時の企業にこんな寛容な判断があったらな。
いい人材ばかり採用する。学生は企業が求める人材になろうと自ら矯正する。
個性が潰されていく。
トットちゃんは、おそらくADHD。
普通の企業なら、どんどん劣等感にさいなまれていき、自分を見失っていったかもしれない。
でも、テレビという 誰にも予測出来ない未知のブラックボックスだったからこそ「面白い」と受け入れられた。
満島ひかりのトットちゃんは、かすかに記憶に残る あの早口で人の話を聞かず、
周りの人を困惑させる持論を真顔で展開する「ザ・ベストテン」の黒柳徹子さん そのまんま。
昔見ていた時は、面白い人だな、芸人さんなのかな、台本通りやっている役者さんなのかな、と不思議に思っていた。
でも、あれが素だったとは、かなり衝撃的だった。
でも きちんと個性として、それはタレント(才能)として認知されている。
たぐいまれな才能を活かして成功できた数少ない人。
才能よりは、使い勝手のいい人を採用しているように思える今のテレビ業界。
もうすごい才能を持った人なんて現れないのかもしれないな。
だから面白くなくなったのかな、最近のテレビ。
うちの上の子は、すこし人と違う。
客観的に見ている分には面白い。
でも危なっかしくて、早く一人前になってほしい、しっかりしてほしいと願ってしまう。
でも徹子さんのお母さん、黒柳 朝さんのように、
大きな心で、しっかりと子どもを見つめ 見守ってあげなければ、と思う。
とても難しいことだけど。
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