夕暮れ日記

引きこもり主婦です。メンタル弱めです。やらなきゃいけないことはたくさんあるのに、何もできないまま気づけば夕暮れ。そんな日々の徒然日記。(コメント欄は開けたり閉じたりします<(_ _)>)

専業主婦。
やらなきゃいけない事は山盛り。なのに気つけば夕暮れ。
18才の長男は発達障害グレーゾーン。やり場のない思いをボチボチ綴っていきます。

悪女ミポリン~後編~

バレンタインデー当日が来た。


ミポリンは、男性社員一人ひとりに個別でチョコを配り始めた。

ひとつひとつ小さな紙袋に入れて。


そして、Aのところにも持ってきた。

私は、そのチョコを見て驚いた。

本命チョコの装い…。3000円はしそうな豪華な物、それに小さなプレゼント(ネクタイ)の箱も添えていた。


そのとき、私は悟った。ミポリンが魔性の女であることを。


誰からも「本命か」と思われるチョコを贈り、勘違いさせ、10倍返しのホワイトデーの貢ぎ物を受け取る作戦?!


私は、Aが周りにミポリンからもらったチョコを見せびらかせ、嬉しそうに眺めていたのを横目で見て、大嫌いなAだけど、とても気の毒に思えた。


本当の事を教えてあげようか、でもただの妬みで言っていると信じないだろうし…。

ま、普段パワハラ、モラハラ、オンパレードのAなので、楽しく見守ることにした。


ミポリンとは職場の飲み会でたまに話すので、それとなく紹介された彼氏の事などを聞いてみた。


元社員の彼氏は、なかなかのいい男で好みはドンピシャだという。お互い、結婚も視野に入れてつきあっているという。


彼氏の実兄は、家業の理髪店を継いでいたが、1~2年前に交通事故で亡なくなってしまった。

次男坊の彼は、兄の死によって、会社を辞め理髪店を継ぐべく修行に入ったという。


彼氏とAはどうも同期入社らしく、部署は違えど親しかったらしい。彼氏が、もしAがミポリンに想いを寄せていることを知ったら、きっと嫉妬したりやきもちやいたりすると思うけど。何も言っていないというから、おそらくミポリンは、Aに思わせぶりな態度をとっている、ということを伏せているのだろう。(当然か)


Aは、バレンタインデー以来、ミポリンが自分に好意を持っていると信じ切っていた。ミポリンとの廊下立ち話も以前にもまして、大胆になっていった。

義理チョコに普通ネクタイはつけない、私の忠告も無視!のしたたかさ。これは絶対確信犯の悪女。


もちろん、ホワイトデーにはAから、しっかりプレゼント(アクセサリー)ももらったようだ。




そして、ミポリンが入社して半年が過ぎた頃、ついに…


「皆さん、お世話になりました。短い間でしたが、ありがとうございました」


ザ・こ と ぶ き 退社。


ミポリンは28才になっていた。


少し焦っていたのかもしれない。


ミポリンがお世話になったひとりひとりに挨拶をしてまわる。


もちろん私のところにも。


でもその時私は、異動があって「校閲」からAと同じ「編集」に移っていたので、すぐそばにAがいる。


ミポリン 悪女。


Aは、ほんとに苦虫をかみしめたような顔で私たちの会話を聞いていた、と思う。


あとで、聞いた話だけど、Aには挨拶しないで去ったらしい。


Aが、ミポリンの結婚相手が同期でしかも、結構親しい人物であると聞かされたのはミポリン退職後。

(Aの事など話題にもならなかったろうけど、Aからしたら好きな女性と友達が自分の気持ちを弄んでいた、と思うのは無理もない)


Aがその後、荒れまくり、女性不信になったことはいうまでもない。


飲みの席ではミポリンのことを「あの女!」呼ばわりでくだをまいていたらしい。


ミポリン退職後、半年くらいして結婚式が行われた。Aは招待されなかった。(私も)




あれから18年。ミポリン夫婦はうまくやっていけてるだろうか。


Facebookで探してもヒットしない。

でもAはいまだ独身(45才)、Facebook、リカちゃん人形のアイコンが彼の屈折さを物語っていた。




おしまい







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