ゆる~い三角関係?
結婚前の話。
勤めていた会社に、グループ会社のデザイン事務所が引っ越してきた。
前は街のビルに入っていたのだけど、本社の中にあった方が便利、ということで同じ建物内に。
そのグループ会社の社員は全員グラフィックデザイナー。
なので、制服(ジャンパー)も着ないし、Tシャツとかジーンズとか、ラフな私服。
仕事がないときはブラブラ社内を散策。
そのデザイナーの一人で、ちょっと布施博に似たチャラ男がいた。
妻子持ち。
私の部署にもしょっちゅう来て油を売っていた。
私のタイプではないし妻帯者だし、チャラいし、ガン無視。
でも、同じ部署のMさんは、どうもその布施博(仮名)の事が好きみたいだった。
Mさんはぱっと見 南果歩似。
声もよく似ていてねばっこーい甘えたしゃべり方をする。
目つきが怖くて、人を見下したような上から目線が鼻につくタイプ。
年は私より2歳下。
布施博が来ると嬉しそうに近づいてきておしゃべりを始める。(仕事中)
布施博も誰も相手にしてくれないので、南果歩(仮名)としゃべる。だいたいどうでもいいようなくだらない話。
男「最近太ってきてさぁー」
女「そうかなぁ。全然太ってない。そのくらいの体形がちょうどいいですよ」
こんなオチのない会話が延々続く。
そして布施博は、南果歩と話しつつ周りをキョロキョロして、相手してくれそうな人を物色。
だんだん私の島に近づいてきて…。
ある日私の机の隣にシレーと座っている布施博。
仕方なく話をしていたら、
「前からつつじさんのこと気になってたんだよ。朝、駐車場でよく会うじゃん。後ろ姿がたまんないよ。足がきれいだよね」
来たよ、来た来た。(足フェチか?!)
チャラ男が口説き始めたよ。
そして、何日目かでついに
「おれ、結婚してるけど、付き合わない?」
「はぁーーー?! だめに決まってるじゃないですか!」
でも、自分の携帯の電話番号のメモを強引に置いて立ち去った。
それでしばらく放置。
相変わらず布施さんは油売りに来ていた。
布施「飲みに行こうよ」
私「私 車ですし、家遠いから無理です」
こんな会話が毎回。
布施さん ほんと女好きって感じで断られても断られてもめげない、すごい。
ある日、南果歩が
「私 布施さん いいなぁ、て思うんですよね。」
と言い出した(仕事中)
(おいおい!妻帯者の女たらしだよ!)
南果歩はプライド高めのお局タイプ。なので社内の男どもは南果歩を相手にしない。「中学聖日記」に出ていた夏木マリみたいな扱い。
で、南果歩も彼氏や結婚相手探していたけどまったく不調。でも性欲だけはあるみたいで、雑談した時、結局最後はエロトークになるので、男日照りが続いているんだな、と思っていた。
そして布施さんがまた私のとこに来て
「南がさぁ、飲み行こう、飲み行こう、てしつこくてさ、まいってんだよね」
(えっ 女好きなのに、まだ飲み行ってないの?)
びっくり。
でも、やっぱり南果歩、布施博を誘ってたんだー。
すごい! 不倫だし、社内だし。
社員数が多いから仕方ないんだろうな。
で、南果歩に、仕事中意地悪をけっこうされてたので、ちょっとした好奇心から、布施博に電話してみた。
私は南果歩のことを聞きたくて。
私「南さんと飲みに行ったりしてないんですか?」
布施「いくわけねーじゃん! 嫌いだもん」
私「へぇー」
布施「いや、実はね、一回だけ、飲みに行ったんだけど…。」
私「そうなんですか。じゃ、私じゃなくて南さんと行けばいいじゃないですか」
布施「いやー、一回飲みに行った時さ、オレ南にホテル誘われてさ」
私「行ったんですか?」
布施「行くわけねーじゃん! あれは手出しちゃいけないタイプだよ」
(やっぱり…。)
布施博は、南果歩のこと、ほんとうに嫌いみたいだった。
女にも男にも嫌われる人いるんだな。
顔はまぁまぁきれいなのに。
そこを鼻にかけるからだめなのかな。
私は、南果歩が『相手』を探しているということがわかり、だからいつも欲求不満的な過激なエロトークを仕事中にするんだ、と納得した。
で、布施博だけど、
布施「ねー、今度飲みに行こうよ。はっきりいうと、一回お願いします」
なんか森繁久弥みたいなわかりやすいスケベでびっくりした。(笑)
私「それはだめですよー。こんど『飲み』に行きましょうね」
社交辞令で終わった。
そして すぐ私は結婚してしまったので、あとどうなったか知らない。
今ではセクハラで告訴もん。
でも布施博は、女の扱い慣れてる感じだったので、いやらしい感じも不快感もなかった。不思議な人。実は口ばっかりで一線は超えない人なんだろうか。
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