忘れもの
今 上の子がインフルエンザで出校禁止。
下の子は一人で登校している。
いつもきょうだい喧嘩ばかりしているが、
妹は、結構お兄ちゃん思い。
昨日は、春休み前で、体育館シューズやリコーダーの持ち帰りを余儀なくされ、
ただでさえ自分の荷物でパンパンなのに、
お兄ちゃんの教室まで行って、上の子の調理実習用のエプロンと体育館シューズを持って帰ってきたという。
ところが、あまりにも荷物が多く、うっかりお兄ちゃんの荷物だけ、
駅の待合室に忘れてきてしまったらしい。
小学生を3年もやっていると、度胸もだいぶついてくる。
「大丈夫、待合室に忘れたのは間違いないから、明日取りに行く。お兄ちゃんには黙っといて」
余裕だ。
「でもお兄ちゃんのだから、もし出てこなったらお兄ちゃんおこるんじゃない」
と言うと、しぶしぶ謝りに行った。
上の子は案外 ケロッとしていた。
そして、念のため駅に電話して確認するよう促した。
「あのう、お忙しい所すみません。待合室にエプロンと三角巾 置き忘れたんですが、
届いてませんか」
舌ったらずのおませな口調に、ちょっとハラハラ。
でも、親の会話を聞き耳しているのか、話術は完璧。
電話口の女性が、「まだ届いてないから、今から見に行って報告する、連絡先を…」との言。
ちゃっかり私の携帯番号を知らせて、またまた余裕で待っている。
3分くらいして、電話がかかってきた。
「待ってました!」とばかりに笑顔で応対。
でも、急に声が小さくなり、眉毛がハの字になり、顔が真っ赤になった。
そして電話を切った途端に泣き出した。
「どうした?」
「エプロン見当たらないって‼︎ うわぁ〜ん。・°°・(>◯<)・°°・。」
誰か知らない人に持ち去られた恐怖からなのか、お兄ちゃんからコキ落とされるのが嫌なのか、
また その両方からなのか、紺色の制服に涙のシミがみるみる広がっていく。
「中身は本当にエプロンだけ? 他に何か入ってなかった?」
すると、思い出したように、「あっ!」と顔をしかめ、さらに涙声の鼻水混じりで何やらモゴモゴ…。
どうも近所の図書館で借りた「手相の本」も入れてたらしい。
「じぁあ、拾った人が、本を見て◯◯図書館まで返しに来てくれるかもしれないよ、エプロン多分一緒に戻ってくるよ」
私は、こう言いながら、内心
(本は弁償だな、エプロンは春休みにまた作ろう、サイズが合わなくなって作り直したと思う事にしよう)
もうすでに諦めた。言ってる言葉とは裏腹に、こういう時は期待しないようにしている。
最悪の事態をあえて想定する癖がついてしまった。
念のため、◯◯図書館に電話を入れたが、届いてないという。
見つからなければ、やはり弁償。
子ども用の本と、愛情たっぷりの手作り男子用エプロン(汚れ付き)、そんな物欲しがる人間いるのかな…。
夕べはなんとも合点がいかない一夜を過ごした。
そして今朝、エプロンの事は朝のバタバタに紛れ忘れていたが、
7時半頃電話が鳴った。
出てみると娘だった。
「本とエプロンあったよ‼︎ 駅長室に届いてたって‼︎」
「よかった💜」
エプロン作り直さずにすんだ事にほっとした。
電車、バスで通わせてると、忘れ物は日常茶飯事。
いちいち怒ってたら体が 持たない。
せめて私の心の負担が軽くなるよう、子どもたちには、事後の後始末は極力自力でさせている。
物を失くして、善意で出てきて、感謝して…。
子どもたちは、そんな人の優しさに触れながら今日も一歩一歩成長している。
感謝。
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